がんって何? その本質に迫る!
前回、健康診断について述べたら予想外に反応がありました
やっぱり皆さん、健康には興味があるんですね
今回は「がん」のお話
「がんって何?」と検索しても、その本質に迫る文章には全く行きつけません
そういう私も、大学を卒業して数年経つまで、がんを分かったような気でいました
それを教えてくれたのは、夏目雅子さん、そう白血病です
それでは本日、がんの本質に迫るお話をしたいと思います
まずは、「癌」、「がん」、どっちが正しいの?
江戸時代、乳癌、胃癌を指して「岩」と呼んでいました
硬くなるからです
そして「岩」という字に病ダレを付けた漢字が「癌」です
つまり、「癌」、とはもともと「固形がん」を指していました
ところが、国立がんセンター、県立がんセンター、などはみんな平仮名の「がん」を使っています
それには理由があって、白血病などの血液がんも当然ながら「がん」なので、固形がんを指す「癌」では宜しく無いとなったのです
急性白血病にかかると、白血球数が基準値は1ミリ立方メートルのなかに4000~9000個ですが、その数倍~10倍に増えます
増えすぎもよくないけど、免疫細胞の白血球が増えるだけなのに何が良くないの?
免疫力が上がって、かえって良いんじゃないの?
そこで血液内科の専門医に尋ねました
答えは・・・
白血球や赤血球などの血球は骨髄のなかで作られるのは知ってるよね
はい
白血病になると、その骨髄から大人になりきる前の「子供の白血球」ばかりがどんどん出てくるんだ
だから、形は白血球だけど免疫細胞としての能力を持っていない
その結果、肺炎などの感染症にかかりやすくなるんだよ
そうだったんだ!
目からウロコとはこの事、それまで「がん細胞」とは「悪い細胞」とのイメージでしたが、一気にがん細胞に対する見方が変わりました
これこそが、「がん細胞の本質・・・その1」です
専門用語では、「幼弱細胞」、とか「左方変性」と呼びます
この「がん細胞の本質・・・その1」は他のがんにもすべて当てはまるんです
肝臓がんにかかり、肝臓の80%が肝がん細胞に置き換わったとき、肝臓の働きは健常人の20%分しかなくなります
つまり、肝臓がんなのに肝硬変の方と同じ状態になる訳です
次はちょっと難しくなりますが、「がん細胞がどんどん増えていくのは何故?」
聞いたことないかもしれませんが、DNAなどの染色体の端っこには「テロメア」、という尻尾がついています
この「テロメア」という尻尾は、1回細胞分裂をすると尻尾がだんだん短くなります
だいたい50回細胞分裂をすると「テロメア」が無くなって、細胞分裂できなくなります
ところが、「がん細胞」は、「テロメア」という尻尾が無くなっても細胞分裂を止めないんです
これが、「がん細胞の本質・・・その2」、です
例えば、擦り傷で皮膚が一部欠損した場合、皮膚の再生が終わると(治癒すると)、皮膚の細胞増殖は自然と止まります
シャーレの培地に正常細胞を乗せると、シャーレいっぱいまで広がると増殖を止めます
シャーレの培地にがん細胞を乗せると、シャーレいっぱいまで広がっても増殖を止めずに、細胞が盛り上がってくるんです
「テロメア」にはそういう機能も備わっているんです
胃がんや大腸がんになった場合は、細胞増殖が止まらないために最終的には消化管を塞いでしまいます
「食べられない!」、「ウンコが出ない!」、「お腹にガスが溜まる!」
となってしまいます
どうでしょうか、少し難しかったですか?
「がん細胞の本質・・・その1」、「がん細胞の本質・・・その2」
一般的には、「がん細胞」って凄い悪者のイメージですが、同じ自分の細胞でもあるんですよ ・・・・ 出来の悪い我が子みたいなもんです
がん細胞が暴れて、凄い悪さをしているわけでもないんです
なので、脳腫瘍になってから16年間も、「腫瘍と仲良く生きています」
なんていう事例も生まれるし
早期に自覚症状がある訳でもなく、早期発見が難しい理由でもあります
「がん」のお話、奥が深すぎるので、たまに話題を変えながら小出ししていきますね 苦笑
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コメント
No title
2019-01-30 11:24 waikiki66 URL 編集
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専門的な事を平易に書くって大変なんですよ 苦笑
これでもかなり分かりやすい文章にしたつもりなんですけど・・・
全部は分からなくっても、がん細胞って思ったほど悪者じゃないんだな
って感じてくれるだけで十分です
2019-01-30 12:09 Tomy URL 編集
No title
さっぱりわかりません、(笑)
2019-01-30 14:27 keina URL 編集
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わはは、 ・・・ そうか、難しかったか~
いま、明日、明後日の医療記事を書いていたんだけど ・・・
反応を見てから、たまに継続するか、これっきりにするか、考えます
2019-01-30 15:15 Tomy URL 編集
No title
2019-01-30 16:43 tak*shi*e*ake URL 編集
No title
こんにちは
江戸時代、「がん」の事を「岩」と呼んでいた、そしてその意味
それ1つでも新しい知識になってもらって良かったです
時代劇を見てると、たまに出てくる言葉ですもんね
「岩」の音読みは「がん」ですから、「がん」と呼ばれるようになったんです
当時の寿命はとても短かったので、「がん」はとても珍しい病だったんです
2019-01-30 17:30 Tomy URL 編集
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2019-01-30 19:38 km2c URL 編集
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がん細胞は、健康な人でも1日に5,000個産まれていると言われています
それを免疫細胞の1種であるNK細胞が食べて殺してくれます (貪食細胞と呼びます)
もう一つはキラーT細胞と言うものです (液性免疫細胞です)
キラーT細胞は、PD-1という物質を放出してがん細胞を攻撃します
ところががん細胞は、PD-L1というPD-1を効かなくさせるさせる対抗物質を出すんです
オプシーボは、がん細胞の造るPD-L1を働かなくさせるお薬で、オプシーボが直接がん細胞を殺すわけではありません
本来人間の持っているがん細胞を殺す免疫の力を復活させる薬です
なので免疫力の低下した老人よりも、免疫力の強い若い患者さんの方が効果的かもしれませんし
免疫力だけで育ってしまったがん細胞の塊を消し去ることが出来るのかと言うと、それは疑問です
がんがそれ以上育たない程度の効力でも、がんと供に共存するという生き方も十分可能と思います
従来の抗がん剤と違って、薬の副作用で苦しむことは殆どありません
2019-01-30 20:16 Tomy URL 編集
No title
最先端の医療を少し知る事ができました。
有り難うございました。
2019-01-30 22:21 km2c URL 編集
No title
2019-01-30 23:48 tak*shi*e*ake URL 編集
No title
今までの抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常細胞も攻撃していたので
副作用が強かったのです
今後は、がん細胞だけを標的にした、オプシーボとも違う新しいタイプの抗がん剤が
どんどん出てきます
2019-01-31 08:31 Tomy URL 編集
No title
おはようございます
医療書庫を新しく作ったんですが、設定をちゃんとしていなかったため
コメントが承認制になっていたり
不具合が幾つか出てしまいました
昨日設定を変更したのですが、それが反映されるまで数日かかるようです
ご不便をおかけして申し訳ありませんでした
2019-01-31 08:33 Tomy URL 編集