生涯でがんにかかる確率は? ざっと50%
正直にいうと、ビックリ!
昨日はコメントつかないと思っていました
フィリピンへ移住するために日本を発つとき、ほぼ全ての医療関係の専門書を後輩等に譲りました
1冊、5,000円前後の図書がゴロゴロあったんですよ
(後輩が欲しがったためもありますが・・・)
断捨離のつもりでした
移住後は、子育てだけに集中するためでもありました
なのでブログを立ち上げた時も、医療に関する記事を書くつもりは全くなく、書庫も設定していませんでした
2年前に親父を肺がんで亡くしたときも、気持ちに変化はありませんでした
でも最近、移住された方の不幸等が重なり、少しは皆さんの健康に対する啓蒙に繋がれば有り難いな
そういう気持ちが芽生えてきました
きょうは、「がんって増えてるの?」、その真実です
戦前の死亡原因は、肺炎・結核・胃腸炎(胃潰瘍)・脳卒中、が大半でした
1947年当時の男性の平均寿命は ・・・・・ なんと、50歳です!
現在、男性:81歳、女性:87歳です
最初の図の「悪性新生物」というのは、「がん」の医学用語です
「がん」、が飛躍的に増えていますよね
でもなんで?
この一番の原因は、日本人の寿命が延びたからです
脳卒中で死ぬこともなくなり、結核や肺炎で死ぬこともなくなり、結果として「がん」で死ぬようになっただけです
じゃあ、どれくらいの確率で「がん」になるの?
国立がんセンターの集計ですが、人口10万人当たりで集計されています
こういったグラフはよく目にしますよね
確率は1.3%程度なので、これじゃあ交通事故と同じだな ・・・・ と感じても仕方ありません
でも本当の見方は、異なります
60~64歳で「がん」にかかる確率が1.3%ではなく、60~64歳の方がその1年間で「がん」にかかる確率が1.3%なんです
ですから、60~64歳の5年間で「がん」にかかる確率は5倍の、6.5%にもなります
こうなると、交通事故なんて言ってられません
これを5年間じゃなくって、生涯で見るとこうなります
40代までの、「小児がん」、「婦人科系がん」、は別にして、50代以降の「がん」は老化の一種、老衰の一種、と考える医師もいます
私も54歳のある時点から、そのような受け止め方をするようになりました
それまでは、「がんに罹ったら戦うもの」としか考えていませんでした
1月30日の記事でも書いたように、がん細胞自体は皆さんが考えているほどの「悪者」でもないのかもしれない
上手に付き合う方法もあるんじゃないかと考えるようになりました
がんの末期は特にそうです
私の幼馴染のお母さんがすい臓がんになりました
見つかったときは大学病院
しかしその大学病院から、自宅近くの個人病院に転院を勧められました
その時点で、幼馴染から相談を受けたんです
すい臓がんのステージ4でしたが、幼馴染は親にできうる限りのことをしてあげたいと考えていました
何をしてあげられるか、が相談内容です
膵臓は消化液・内分泌液の製造元なので、この時点では胃・肝臓・胆嚢への転移が考えられます
それらも含めて全て外科的に切除する?
もうそうなると食べる事も出来ずに、経管栄養か点滴で生きるだけになるよ
じゃあ抗がん剤や放射線療法で戦う?
副作用にお母さん耐えられる?
完治なんかしないよ
たとえ余命があと半年伸びても、どちらも病院からは一歩も退院できずに終わるよ
私はその時点で、余命が半年くらいと想像していました
今だったら3,4ヶ月は家で暮らしていけるし、旅行にだって行ける
その3,4ヶ月で家族の思い出をいっぱい作るべきだと助言しました
もちろん私も彼のお母さんをよく知っています
半年後、幼馴染から、「お袋と旅行に行けた、思い出を作ることが出来た、お袋の笑顔を見ることが出来た、ありがとう」
と電話を頂きました
電話だから見えないのに、泣いていました
「ごめんね、力になれなくて」
最近、多くの病院に「緩和医療」という看板を見受けられるようになりました
昔は、がん細胞は成長が早く身体の栄養をどんどん奪い去っていく
「患者さんを痩せさせないように、2割多めの栄養を摂りましょう」、と言われていました
でも栄養をたくさん摂ると、更にがん細胞が育って、患者さんは痩せはしないけど余計に苦しむことになったのです
今は逆です
「緩和医療」とは、「終末期医療」のことで、「がん」で余命1~2ヵ月と診断された時に行われる医療です
食事量は通常の半分以下に減らされます
抗がん剤も放射線も止めます
行われるのは、疼痛管理だけです
そうなると・・・がん細胞はお腹が空いておとなしくなり、あまり悪さをしなくなります
普通に考えると、抗がん剤をつかうとがん細胞を攻撃するので大人しくなると思いますよね
実は反対なんです
がん細胞は攻撃を受けると、「悪液質」という悪さする成分を放出して身体を苦しめるんです
抗がん剤の副作用で苦しむだけではありません
がん細胞が全て死滅するまで、抗がん剤で攻撃するか
もう回復の見込みが無いとなった段階で、「緩和医療」を選択するか
それは患者さん自身とその家族の選択になってきます
でも最近、分子標的薬のなかでも免疫療法剤という新しい薬が見つかってきました
日本人がノーベル賞を取った、オプシーボと言う薬がその代表です
身体の免疫力を活用しながら、がん細胞の増殖を抑えながら、がん細胞が「悪液質」を撒き散らして暴れないように上手に付き合っていく治療が始まっています
長くなったので、今日はここまで
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コメント
No title
「50代以降の「がん」は老化の一種、老衰の一種」そうなると、ぼちぼちヤバイかな?
母親が胃がんでした。 その年齢を、25年ほど余分に生きています。
今は健康ですが、そろそろ終活を始めましょうか?
それとも、ケ セラ セラ、成るようになるさ・・・で行きましょうか?
2019-02-01 09:13 jo5*63*56* URL 編集
No title
おはようございます
全然なるようになるさ、で構わないと思いますよ
身体に何か異変を感じた時に、素早い行動をとることです
胃がんは遺伝的要素よりも、ピロリ菌に感染した胃潰瘍などの影響が強いので
まず問題ないでしょう
2019-02-01 09:54 Tomy URL 編集
No title
2019-02-01 10:47 keina URL 編集
No title
あはは、そうですよ~
身近なお友達みたいに感じてきませんか? 笑
老化の一種って書きましたけど、直接の原因は
老化による、免疫力の低下、抗酸化力の低下です
発酵食品、野菜をたくさん食べて人生を楽しみましょうね 笑
そうそう、納豆菌はビタミンEを産生するので、Wの効果があります
ファームで納豆も作ってください
2019-02-01 11:00 Tomy URL 編集
No title
ガンと聞くと敏感に反応します。
生涯では62パーセントか。
将来のことを真剣に考えないとね。
2019-02-01 14:44 tabang URL 編集
No title
こんにちは
「がん」=「不治の病」、のイメージが強いですからね
敏感になっても仕方ありません
でも、名古屋のトヨタ記念病院の院長先生が、がん治療学会でこんなこと言ってました
「交通事故、心筋梗塞、脳卒中
突然襲い掛かって、何もできずに亡くなってしまうケース
それに比べると、がんを宣告されても数年は生きられるようになりました
つまりその間に、死ぬための準備が出来ると言う事です」
私は、「なるほどな~」って思いました
JUNさんのことをきっかけに、
いま子供たちのために何が出来るかを、真剣に考えるようになりました
法人を作ることにしたのも、子供たちのためにです
2019-02-01 15:54 Tomy URL 編集
No title
2019-02-01 20:50 tak*shi*e*ake URL 編集
No title
初めてコメント致しますいつもTomyさんの医療関係の記事に
感心させられたり参考になり有難いと思っています
お聞きしたい事がありご存知の範囲でお答え頂ければ
医師100人に、、、
もし医者自身が癌と診断されたら何人の医師が抗がん剤治療及び
放射線治療を受けると思いますか?
ご意見をお聞かせください。
2019-02-02 07:43 cb_cebujp URL 編集
No title
おはようございます
そうなんです、脳出血でも、脳梗塞でも、今では出来るだけ早く救急に運ぶ
というのが鉄則です
対処は脳梗塞と脳卒中は真逆なんですが、素人では判断できないですからね
脳出血は出来るだけ早く開頭して出血部位のクリッピング
脳梗塞はt-PAの点滴です
t-PAは発症後30分以内なら劇的な効果があります
脳にもあまりダメージが残らないと言われています
次に、発症後3~4時間以内
それを過ぎるとあまり効果が出ないんです
2019-02-02 08:27 Tomy URL 編集
No title
おはようございます
なかなか難問です
腫瘍臓器によっても異なりますが、一般的な話をします
ステージ2までだったら、第一選択は外科手術
その後、再発予防としての抗がん剤治療
ここまでなら、100%治療を受けると思います
ステージ3になったら、放射線療法と抗がん剤の併用ですね
腫瘍が小さくなったり、リンパ節転移をつぶしてから外科手術
その後また、再発予防で抗がん剤治療
この段階になると、ポチポチ抗がん剤治療を回避して、放射線治療のみを選択したり、医者によって対応が分かれてきます
放射線治療でも、陽子線治療などを希望したりもするでしょう
問題はステージ4
がんの再発や他臓器への転移が認められた場合です
抗がん剤の中でも最新の分子標的薬で、副作用を少なくした延命治療のみを受けると思います
積極的な治療はしないでしょう
医者はプライドの高い方が多いので、長期入院をして弱くなった自分を晒すのが怖いのかもしれません
あとは患者さんの死をいつも見ているので、死に対する恐怖感がとても小さいんです
何よりも大切にするのが、自分に対する尊厳死じ
2019-02-02 08:46 Tomy URL 編集
No title
職業病なのか、いつも患者さんの裸を見慣れているので
羞恥心がとても小さいように感じます
病棟の温泉旅行でも
混浴平気だし、若い医者の方が恥ずかしがっていました 笑
40年近く前、ある個人病院の院長先生から病院の職員旅行に誘われました
「きみ、独身だよね、参加しない?」
病院はほぼ女性の職場
宴会は大広間ですが、病棟婦長の権力は絶大
「きみ、私の隣に座りなさい」 ・・・ 拒否権はない雰囲気です
そのうち、院長先生が
「あとは無礼講!」、と言って自室に戻りました
逆の意味で、酒池肉林の世界になりました
昔の話です ・・・・・
2019-02-02 09:10 Tomy URL 編集
No title
すみません、回答が5文字数制限を越えて中途半端になってしまいました
つまり、ステージ3を越えたところでは、何%の医師ががん治療をするかと言うと
ほぼ100%治療はすると思いますが
徹底的にがんを叩こうという積極的治療を選択するか
延命治療を選択するかの違いだと思います
そうなると、ステージ3で9:1
ステージ4で2:8
と言ったところでしょうか?
あくまでも私の感覚ですが・・・・
2019-02-02 09:24 Tomy URL 編集
No title
親身なお答え大変有難うございました。
医者と患者の信頼関係
生命は病院の方針と医者次第、、、
病気と戦っている方がたくさんいますね
今日は診察を受けて先生に癒されず看護士さんの一言に癒されました
看護士さんもいろんな事知ってますね。
有難うございました。
2019-02-02 14:14 cb_cebujp URL 編集
No title
けっこう高いガン保険を見直してみようかと思いました。
2019-02-02 14:42 waikiki66 URL 編集
No title
大学病院や総合病院クラスになると別ですが、小さな病院や開業医
標榜している専門は、当てになりません
皮膚科に入局して、就職した個人病院では内科を診療していたケースもあります
日本は制度的に、自分で勝手に専門科を標榜していいんです
知らぬは・・・患者ばかり、ってなこともあるので
病院、担当医は慎重に選んだ方が良いです
2019-02-02 18:01 Tomy URL 編集
No title
ロウソクの火が消えるように・・・しかも家族に見守られた中で
とても理想的な最期だったと思います
あちこち切られて、放射線と抗ガン剤で体を痛めつけられた挙句
これ以上手の施しようがありませんって・・・
患者さん本人の尊厳はどうなっているのと思うこともあります
本人の生に対する執着心が大きければ別です
もしがんなら、どのステージで見つかったかが分かれ目ですね
2019-02-02 18:18 Tomy URL 編集